
じつは年賀状にはさまざまなマナーとルールがあります。表面(宛名面)と裏面(文面)それぞれの正しい書き方やデザインの選び方、年賀状の投函に関する注意点などを解説します。ビジネスや目上の人に年賀状を出す場合にもこれで安心です!
目次
宛名に関するマナーとルール
宛名を書く際は相手の氏名、敬称、住所とそれぞれ気を遣うべきポイントがあります。黒字で、間違いがないよう丁寧に書きましょう。もし間違った場合は修正ペンを使ったり二重線をひいたりするのでなく、必ず書き直してください。
なお、書き損じた年賀はがきは郵便局に持って行けば、切手や普通郵便はがきに交換してくれます。交換には手数料が必要です。年賀状1枚につき5円かかります。
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年賀状の書き損じは交換可能!手数料やいつまで可能かなど丸ごと解説
住所は縦書きで読みやすいように配慮する
最近では宛名を横書きにする人も増えましたが、正式には縦書きが正しいです。目上の方やビジネス上でお付き合いがある方には縦書きで送るとよいでしょう。
住所は、郵便番号の右から二つ目の枠あたりを目安に書き始めます。住所の1行目に都道府県名から番地を書き、建物名や部屋番は2行目に書くとスッキリと収まるでしょう。2行目は1行目の文頭より少し下げて書き始めると読みやすくなります。
当然、住所は正式名称で書くのが基本です。建物名も省略せずにきちんと書きましょう。番地の数字は漢数字で使います。ただし、親しい人への年賀状などで宛名を横書きとする場合は、アラビア数字で書きしょう。
敬称は個人名に「様」、会社名に「御中」を付ける
氏名には敬称をつけます。個人名の場合は「様」、会社や団体の場合は「御中」となります。医師や弁護士など、いわゆる“士業”の場合は「先生」でなく「様」を付けます。
会社や団体など組織に所属している場合は、必要に応じて相手の役職名や肩書きを記載します。その際、肩書きと敬称を並べてはいけません。会社名と部署名の両方に御中と記載すること、両方に敬称を付けることもNGです。
【敬称の正しい例】 ・北村一郎 様 ・キタムラ株式会社 御中 ・キタムラ株式会社 営業部 御中 ・キタムラ株式会社 営業部 部長 北村一郎 様 |
【敬称の間違った例】 ・北村一郎 御中 ・キタムラ株式会社 様 ・キタムラ株式会社 御中 営業部 御中 ・キタムラ株式会社 営業部 北村一郎 部長様 |
■正しい書き方の例

氏名は年賀はがきの中央に大きめに書く
相手の氏名は、住所や差出人の氏名より大きめに書いてください。年賀はがきの中央、郵便番号の前半3つの真ん中を目安に書き始めましょう。氏名の前に会社名などを書く場合、会社名などは少し右側に書き、表面の中央に氏名がくるようにすると良いでしょう。
ご家族やご夫婦など複数の方を連名とする場合は、それぞれの名前に敬称を付けてください。ご家族全員など、人数が多い場合は「○○家御一同様」としてもOKです。
宛名をプリンターで印刷しても問題なし
年賀状の宛名はプリンターで記載しても失礼に当たりません。かつては「プリンターで宛名を印刷すると失礼」という意見も一部でありましたが、昨今では手書きにこだわる必要はなくなりました。
また、温かみや自分の気持ちが感じられるため宛名を手書きで書きたい方もいるでしょう。この際には、ペンは線が太い毛筆や筆ペン、万年筆を使うのがマナーです。
また、親しい方でも “消せるボールペン”は避けましょう。場合によっては、こすれて見えにくくなる可能性あります。同様に水性ペンも、雨など水でにじんでしまうので使用は避けましょう。
差出人の氏名と住所は表面でも裏面でもOK
差出人の住所や氏名は表面に書いても、裏面にも書いても問題ありません。
差出人を表面に書くときは相手の宛名よりも小さい字で記載すること。縦書きの場合は、差出人の住所と氏名を切手の幅か、年賀はがき下部の郵便番号枠の幅に収まるように書きます。差出人の氏名は、住所よりも大きくしましょう。
新しく家族が増えたときは、子どもの名前に「ふりがな」を付けておくと親切です。引っ越しや転勤で住所が変わったときは、その旨を付け加えておくと丁寧です。
賀詞・添え書きに関するマナーとルール
年賀状には決まった書き方がありますが、あくまでも新年の大事な挨拶。相手のことを思いやり、言葉を選ぶことを忘れてはいけません。
時代とともにマナーやルールも変わっていきますが、今回ご説明するのは現代においても「良し」とされている書き方です。
目上の方に送る場合は失礼のないよう以下のルールを確認しておきましょう。
賀詞は年賀状を送る相手に合わせる
賀詞は「新春」や「寿」、「あけましておめでとうございます」などお祝いの言葉のこと。年賀状では冒頭に大きく書きます。賀詞には一文字、二文字、四文字、文章になっているものまで種類は実に豊富です。相手に合わせて選びましょう。
目上の方には「謹賀新年」「謹賀新春」など4文字賀詞を使うのが基本。「賀」「迎春」など1〜2文字の賀詞は、簡略化した表現なので目上の人に使うのは避けること。
一方で、相手に向けたメッセージは自由に書いて構いません。ただし目上の人にはシンプルな文よりも「謹んで新春のお慶びを申し上げます」といった敬意のこもった表現を選んだ方がベター。親しい人には「あけましておめでとう」など、カジュアルな言い回しや英文でもいいでしょう。
なお賀詞の意味が重複しないよう注意してください。例えば「謹賀新年」は「謹んで新年をお祝いいたします」という意味を持つため、そのあとに「あけましておめでとうございます」と一言添えることは、同じことを二回言っていることとなりNGです。
賀詞の種類 | 賀詞の内容 |
4文字の賀詞 | ・謹賀新年(新年のお慶びを申し上げます) ・謹賀新春(新春のお慶びを申し上げます) ・恭賀新年(恭しく新年のお慶びを申し上げます) ・新春万福(新しい年に幸福の多いことをお祈りいたします) ・迎春万歳(新年を迎えお慶び申し上げます) |
2文字の賀詞 | ・賀正(正月を祝う) ・迎春(初春を迎える) ・初春(新年) ・寿正(正月を寿ぐ) ・初春(春の初め) |
1文字の賀詞 | ・福(幸せ) ・慶(よろこぶ) ・賀(祝う) ・春(新年) ・吉(めでたい) |
文章の賀詞 | ・あけましておめでとうございます ・新年おめでとうございます ・新春のお慶びを申し上げます ・謹んで初春のお慶びを申し上げます ・初春のお慶びを申し上げます |
添え書きは「お礼」「お願い」「お祈り」などで構成する
賀詞の後に続く文章にはルールがあります。まず「添え書き」(挨拶文)は賀詞よりも小さい文字で書くこと。添え書きは構成要素が決まっており、「お礼・近況報告」「お祈り」「お願い・抱負」などを盛り込みます。各要素の順番は決まっていませんが、最後は「日時」を締めに書きます。

(1)お礼・近況報告
「昨年中はお世話になりました」など日頃の感謝を書きます。あるいは「元気に過ごしております」など近況を簡潔に報告します。
(2)お祈り
「ご健康とご多幸をお祈り申し上げます」と健康や幸福、あるいは「益々の活躍をお祈り申し上げます」と活躍や繁栄を祈ります。
(3)お願い・抱負
「本年もよろしくお願いします」と付き合いを請うたり、「ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」と指導を願う気持ちを伝えたりします。「精進して参ります」など抱負や想いを記載します。
(4)日時
「令和5年元旦」と新年の日時を記載。和暦でも西暦でも問題ありません。元旦に年賀状が届かないようなら「正月」や「一月」と書きます。
句読点と忌み言葉を使わない
縁起の悪い「忌み言葉」は避けましょう。例えば「失う」「倒れる」「衰える」「破れる」「失う」など不吉な出来事を思わせる言葉はタブーです。
さらに「去年」のように一見すると問題なさそうな言葉でも「去」に「別れる」「離れる」などの意味があるため、避けましょう。代わりに「旧年」「昨年」を使うとよいでしょう。
「。」や「、」といった句読点もNGです。句読点は近代になってから普及したもので、年賀状や賞状など正式な文書では失礼とされています。また、句読点は「区切り」をつけるため、お祝い事では避けるのが通例です。代わりに改行や、スペースを空けて読みやすくしましょう。
相手を考慮して写真やデザインを選ぶ
写真やデザインに関しては厳密なマナーはありませんが、モラルとして送る相手を考慮する必要はあります。
例えば、子どもの写真を使った年賀状を不妊で悩んでいる方に送るのは「デリカシーがない人」と思われるかもしれません。クスッと笑えるユニークな写真もビジネス上でお付き合いをしている人には不真面目な印象を与える恐れがあります。
目上の方や公的な付き合いの方には基本的には写真入りでなく、干支や縁起物のイラストを用いた年賀状がベターです。もちろん、親しい人にならプライベートな写真を使った方が喜ばれることもあります。相手との関係性を見極め、適切な写真やデザインを選ぶようにしましょう。
一言メッセージを添えるのも効果的
より気持ちを伝えたいなら、基本的な添え書きに加えて一言添えると良いでしょう。直接、親愛の言葉を投げかけたり、共通の話題に触れたりすると好印象。相手を褒めたり、思い出を語ったりするのも有効だと思います。
メッセージは相手が楽しい気持ちになれる内容なら、基本的にはマナー違反に当たることはないはず。文面すべて印刷した年賀状でも、手書きで追記して問題ありません。もちろん、手書きの一言メッセージでも前述のルールは破らないようにしてください。
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投函に関するマナーとルール
年賀状を送る際にも気をつけるべき点があります。元旦に届くように送るのが理想ですが、三が日までに届くように送れば十分です。最低でも「松の内」の1月7日(地域によっては15日)までは失礼に当たりません。
喪中は年賀状を送るのはNGですが、受け取ることは問題ありません。年賀状が届いた場合は「寒中見舞い」を松が明けた1月7日以降に送ってください。喪中である旨を伝え、連絡しそびれていたことを詫びましょう。
送ってない人から年賀状が届いたら返信する
自分が送ってない人から年賀状が届いたら、返礼するのがマナーです。もし1月7日までに届かないようなら寒中見舞いとして投函してください。年賀状のお礼と、遅れてしまったことを謝りましょう。
年賀はがき以外を使用する場合は朱書きする
郵便はがきや私製はがきを使用する場合、切手の下に「年賀」と朱書きしてください。書き忘れてしまうと通常の郵便物として扱われてしまいます。年賀状の受付期間に出したとしても年内に配送されてしまうので注意しましょう。
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マナーを守り相手に気持ちを届けよう
年賀状は日本の伝統文化である新年のご挨拶ですから、ルールやマナーが存在します。こちらを守りながら、相手に敬意と日ごろの感謝を伝えましょう。また、文面や宛名のマナーやルールに不安がある場合は、年賀状のテンプレートや印刷サービスを利用するのがおすすめです。
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