古くから続く日本独自の文化として、「喪中」という考え方があります。
もともと、神道の考え方では、死は穢れ(けがれ)のひとつとされています。
この穢れは、伝染していくものと考えられているため、家族が亡くなった家では、その穢れがなくなるまでの一定の期間、世間から遠ざかり、故人の死を悼んで過ごしていました。
これが喪に服す=服喪(ふくも)、もしくは忌服(きふく)であり、服喪している期間中を指す言葉が喪中なのです。
本来、仏教には穢れという考え方はありませんが、日本のしきたりの中には神道の考え方が色濃く残っているため、たとえ家の宗教が仏教であっても、喪に服すのが一般的です。
亡くなった日を1日目と数えて、49日までを忌中とし、1年間が喪中とされています。
ただし、現代では、49日目ちょうどに四十九日法要を行うことや、1年目ちょうどに一周忌法要を行うことは少なく、その前の休日などを利用して法要を行いますので、その法要をもって判断することが多いようです。
明治7年に施行された太政官布告の服忌令では、亡くなった人との関係や性別によって、謹慎する日数や、喪服を着用して過ごす日数までもが細かく定められていました。
戦後、この法令は廃止されましたが、そのなごりとして今でも喪中という文化が残っているのです。
喪中はがきとは
最近では、喪中はがきを「喪中であることを知らせるはがき」とか、「年賀状が不要であることを知らせるはがき」と思われている方が多いようです。
家族葬など、葬儀の小規模化が進んでいるため、喪中はがきで初めてご不幸を知ることが多くなったことも、理由として考えられるかもしれません。
しかし、喪中はがきの本来の意味とは、「喪中のため、お正月のお祝いを控えさせていただきます」という、年賀を欠礼することをお詫びする挨拶状です。
先方が年賀状を用意し始める前の、11月中旬から、遅くとも12月の上旬までには届くように手配しましょう。
年末にご不幸があった場合は、お正月が明けてからお出しする「寒中見舞い」を使って、年賀の欠礼をお詫びしましょう。
「お知らせ」ではなく、「挨拶状」である喪中はがき。メールやお電話ではなく、はがきやお手紙を使って、郵送するのがマナーとなっていますので、先方が戸惑わないよう、文面や送り方のマナーに気をつけて用意したいものです。
ちなみ、喪中の家へ喪中はがきが送られてきたとしても、同じように喪中はがきをお送りするのが正解です。